4.クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であり、一般に、あるプロジェクトを行うために必要な資金を、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ集める仕組みをいいます。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングには、投資として資金を提供する投資型、製品やサービスの対価として資金を提供する購入型、寄付として資金を提供する寄付型等があります。このうち、投資型クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法が適用されるものを除いて、金融商品取引法の適用があります。
リターン | 主な規制 | |||
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投資型 | 株式型 | 金銭(配当 株式売却益) | 金融商品取引法 (第一種少額電子募集取扱業) | |
ファンド型 | 事業型 | 金銭 (事業収益を配当) | 金融商品取引法(第二種金融商品取引業) | |
有価証券投資型 | 金銭(配当・売却益) | 金融商品取引法 (第二種金融商品取引業・投資運用業) | ||
貸付型 | 金銭 (元本・金利) | 金融商品取引法 (第二種金融商品取引業)、 貸金業法 |
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不動産 | 金銭 (事業収益を配当) | 不動産特定共同事業法(特例事業スキームにおける第四号事業者は第二種金融商品取引業) | ||
非投資型 | 購入型 | モノ・サービス (金銭以外) | 特定商取引法 | |
寄付型 | なし | 特になし |
投資型
投資型のうち、株式型は非上場株式や未公開株式を取得するものです。
ファンド型はファンド持分を取得するもので、出資対象事業により、事業を行う事業型、有価証券等に投資する有価証券投資型、金銭の貸付を行う貸付型があります。
貸付型は一般にソーシャルレンディングと呼ばれます。
金融商品取引法は、インターネット等によって金融商品取引所に上場されていない有価証券等について募集又は私募を行う行為を「電子募集業務」、これら有価証券について、募集の取扱い又は私募の取扱いを行う行為を「電子募集取扱業務」と定義しています。
これらの業務に該当する場合、契約締結前の情報提供にかかる情報のうち、投資家の判断に重要な影響を与えるものとして法定の事項について、電子募集業務又は電子募集取扱業務を行う期間中、インターネット等において投資家が閲覧できる状況に置くなどの規制が適用されます。
なお、電子募集業務は、令和6年11月1日施行の金融商品取引法の改正によって追加されたものですが、対象となるのは貸付型クラウドファンディングに限定されています。 次に、金融商品取引法は、電子募集業務又は電子募集取扱業務のうち、インターネット等により投資家に有価証券の取得の申込みをさせるものを、それぞれ「電子申込型電子募集業務」及び「電子申込型電子募集取扱業務」と定義し、これら業務を行う場合には、インターネット等による追加的情報の提供、ファンドへの審査、クーリングオフ等の追加的な体制整備にかかる規制を置いています。
また非上場株式やファンド持分などの有価証券の募集の取扱い又は私募の取扱いを、インターネットを通じてのみ行う場合には、それが法定の規模を超えない小規模なものに限り、株式型については「第一種少額電子募集取扱業務」、ファンド型については「第二種少額電子募集取扱業務」の制度が、特例として導入されています。
それぞれ第一種金融商品取引業及び第二種金融商品取引業の登録要件が緩和され、有価証券発行額、取得者の払込金額に上限が設けられています。
なお、貸付型ファンドは第二種少額電子募集取扱業務の対象から除外されており、第二種金融商品取引業者の登録が必要です。
第二種少額電子募集取扱業務のみを行う金融商品取引業者は、本協会では電子募集会員となります。
一口メモソーシャルレンディングに関する改正
令和6年11月1日施行の金融商品取引法の改正においては、ソーシャルレンディングにかかる改正が行われました。
これにより、改正後においては、ファンドに関する一定の情報をインターネット等によって投資家の閲覧に供する義務や、申込期間内に目標募集額に到達しなかった場合及び目標募集額を超過した場合の取扱い等、金融商品取引法のうちクラウドファンディングに適用される規制が、ソーシャルレンディングに適用されることとなりました。
また、ソーシャルレンディングに対しては、本協会の規則の適用関係においても、改正前は、事業型ファンド規則(事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則)が適用されていましたが、改正後においては、当協会のクラウドファンディングに関する規則(電子申込型電子募集業務等及び電子申込型電子募集取扱業務等に関する規則)が適用されることとなり、ファンドの事業等に対する審査やモニタリング等について、上記クラウドファンディングに関する規則に則した規制が適用されることになりました。
改正後の適用規制

不動産クラウドファング
投資者から集めた資金を実物不動産に運用する不動産クラウドファングは、第二種金融商品取引業者ではなく、不動産特定共同事業法の許可を受けた事業者が行う事業です。
不動産特定共同事業は、不動産共同事業契約に基づき、事業者が投資者からの出資や金融機関借入を原資として実物不動産を取得・運用し、収益を投資者に分配する事業をいい、不動産特定共同事業法において定められています。
信託受益権ではなく実物不動産に対して投資を行うものであることから、不動産共同事業契約に基づく権利は金融商品取引法の適用除外とされています。但し、不動産特定共同事業を、特別目的会社(SPC)をビークルとして行う場合(特例事業スキーム)において、SPCから委託を受けて、当該権利の出資者を募る行為(第四号事業)は第二種金融商品取引業に該当するとされています。
不動産特定共同事業法 特例事業スキーム

非投資型
非投資型のクラウドファンディングには、寄付を募る寄付型や、募った資金を元に商品やサービスを提供する購入型があります。これらは金融商品取引法及び自主規制規則の規制対象となりません。