一般社団法人 第二種金融商品取引業協会

二種業Q&A

投資家の皆様から、多く寄せられるご質問を記載しています。

信託受益権について

質問:「信託受益権」とは、どのようなものですか。

回答:

資産を信託銀行や信託会社に信託すると、資産の所有権が信託銀行等の受託者に移転し、受託者が信託された資産(信託財産)を管理・運用します。受託者は信託財産から生まれる経済的利益を委託者が指定した者(受益者)に渡しますが、この信託財産から生じる経済的利益を受け取る権利を信託受益権といいます。
例えば、不動産を信託財産とする信託受益権の場合、受益者は不動産から生じる賃料収入(から一定の経費を差し引いた金銭)を受け取る権利を有することになります。

質問:信託受益権の対象となる信託財産には、どのようなものがありますか。

回答:

信託銀行等の信託受託者が管理又は処分することができる財産であれば信託財産とすることができ、制度上、信託財産に特に制限はありません。
例えば、動産や不動産の他に、売掛債権や借地権といった権利、金銭や株式などの有価証券も信託財産になります。

質問:不動産信託受益権とは、どのようなものですか。

回答:

不動産信託受益権とは、不動産が信託財産である場合の信託受益権のことをいいます。

質問:信託受益権への投資にかかる個人の税金の取扱いは、どのようになっていますか。

回答:

信託においては実際に収益を得る権利を有する受益者に課税されること(受益者課税)が原則になっており、信託受益権に投資を行った個人に課税されます。
詳しくは、契約締結前交付書面等でご確認いただくとともに、税理士等の専門家にお尋ねください。

質問:どのような人(会社)が、不動産信託受益権の売買その他の取引を取り扱うことができますか。

回答:

不動産信託受益権は、金融商品取引法第2条第2項第1号に規定する有価証券(「二項有価証券」や「みなし有価証券」と呼ばれます。)に該当します。
そのため、第二種金融商品取引業者でなければ、不動産信託受益権の取得勧誘を行うことはできません。

ファンドについて

質問:「ファンド」とは、どのようなものですか。

回答:

ファンドにはいろいろなタイプがありますが、第二種金融商品取引業者が販売するファンドは、集団投資スキームと呼ばれるものです。金融商品取引法は集団投資スキームという用語を使用していませんが、以下の3つの要素を有する権利を有価証券に該当する権利(みなし有価証券)として定義しました(第2条2項5号)。
①出資者が金銭等を出資又は拠出する
②出資又は拠出された金銭等を充てて事業(「出資対象事業」)を行う
③出資者が出資対象事業から生ずる収益等の分配を受けることができる
これらの要件を満たすスキームは集団投資スキームと総称され、出資者の権利はファンド持分又は集団投資スキーム持分と呼ばれます。
集団投資スキームに該当するかどうかは法形式を問いませんが、同法は例として民法の組合契約、商法の匿名組合契約などの組合型ファンド(Q7参照)を挙げています。
第二種金融商品取引業者が販売するファンドは、他と区別する観点から「二種ファンド」とも呼ばれます。Q&Aでは、「ファンド」は「二種ファンド」を指します。

質問:ファンドはどのような形態(法形式)ですか。

回答:

第二種金融商品取引業者が販売するファンドは、主として組合型ファンドです。
組合型には、例えば、有限責任事業組合(LLP)、投資事業有限責任組合(LPS)、匿名組合(TK)、任意組合(民法上の組合、NK)などの形態があります。
なお、その他のファンドの形態には、会社型と信託型があります。

【主なファンドの類型】

ファンド 根拠法令
組合型 有限責任事業組合(LLP) 有限責任事業組合契約に関する法律
投資事業有限責任組合(LPS) 投資事業有限責任組合契約に関する法律
匿名組合(TK) 商法
任意組合(NK) 民法
Limited Partnershipなど 外国の法令に基づいて設立された組合
会社型 特定目的会社(TMK) 資産の流動化に関する法律
合同会社(GK) 会社法
投資法人(REITなど) 投資信託及び投資法人に関する法律
ケイマンLLC、デラウエアLLCなど 外国の法令に基づいて設立された法人
信託型 投資信託、ETF 投資信託及び投資法人に関する法律
貸付信託 貸付信託法
有価証券発行信託 信託法
Mutual Trustなど 外国の法令に基づいて設立された信託型ファンド

質問:ファンドの運用対象には、どのようなものがありますか。

回答:

不動産等の資産に対して投資を行うファンドや、特定の事業に対して投資を行うファンドなど様々な運用対象があります。投資するファンドがどのような運用対象に投資しているかは、そのファンドのリスクを理解する上で非常に重要ですので必ずご確認ください。
例えば、以下のような運用対象に投資を行うファンドがあります。
①不動産信託受益権を取得・運用し、賃料その他の収益を得る不動産ファンド
②再生可能エネルギー事業に投資する再エネファンド
③競走馬の一口馬主となる競走馬ファンド
④航空機、船舶、コンテナ、輸送用トラック等を取得してそのリース事業を行う設備投資ファンド
⑤商品(農産物、鉱物など)に対して投資を行う商品ファンド
⑥映画製作・音楽制作などに投資する映画ファンド
⑦個別の事業に投資する事業型ファンド
⑧事業会社等の未公開(非上場)株式に対して投資を行うプライベートエクイティファンド(PEファンド)。ベンチャーキャピタル、バイアウトファンド、事業再生ファンドなどがこれに含まれます。

質問:ファンドへの投資にあたり、出資金とは別に手数料等を支払う必要がありますか。

回答:

一般的に、ファンドへの投資を勧誘した金融商品取引業者等や、ファンドの運営者(管理者)、ファンド財産の管理を信託銀行や信託会社が行う場合の信託銀行等に対して、手数料や管理費などの名目で手数料が発生します。
このような手数料は投資者負担となりますが、投資者が投資する出資金の金額に手数料が含まれている場合と、投資者が出資金とは外枠で支払うと定められている場合とがあります。
また、手数料は、ファンドの販売時だけに発生する場合(一回限り)と、毎年発生するなど販売時以降も発生する場合もあります。
個々の案件ごとに、手数料の種類、手数料が出資金額に含まれているのか、出資金額とは別に支払う必要があるのかが異なります。詳しくは契約締結前交付書面等でご確認ください。

質問:ファンド持分を途中で換金又は譲渡したいのですが、可能ですか。

回答:

途中換金又は譲渡が可能か否かは、そのファンドの契約内容によることとなります。そのため、具体的な内容については契約締結前交付書面等でご確認いただく必要があります。
一般的に、ファンド持分は、償還時まで換金できない場合が多く、販売会社が途中で買い取ることも行われておりません。また、譲渡をする場合にもファンド運営者の承諾が必要になっている場合が多く、他者に転売することも難しいと考えられます。さらに、途中換金が認められたとしても、別途、手数料がかかる場合があります。

質問:ファンド持分への投資にかかる個人の税金の取扱いは、どのようになっていますか。

回答:

一般的に、個人がファンド持分への投資によって投資元本を超えた収益(利益)を受けた場合は、所得税法上、所得があったとされ課税の対象となります。
ファンドの形態がどのようなものか、ファンドの運用対象がどのような資産・事業か、また、当該ファンドにおいて投資者がどのような役割を担っているかによりますが、一般的に、雑所得として総合課税の対象となる場合が多いと思われます。
詳しくは、契約締結前交付書面等でご確認いただくとともに、税理士等の専門家にお尋ねください。

社員権について

質問:合同会社の社員権とは、どのようなものですか。

回答:

合同会社とは、会社の形態の一種です。株式会社は株主と取締役を別の人物が担うことが想定される、いわゆる所有と経営の分離が採用されていますが、合同会社は社員が所有も経営も行うこととされています。
合同会社の社員権は、みなし有価証券に該当するとされており(金融商品取引法第2条第2項第3号)、その取得勧誘を業務執行社員以外の者(使用人や従業員)が業として行う場合、第二種金融商品取引業の登録が必要となります。
そのため、合同会社の社員権の取得勧誘を受けた場合には、まず、勧誘を行っている者が第二種金融商品取引業の登録を有しているか否かご確認ください。

投資へのリスク

質問:みなし有価証券に投資することには、どのようなリスクがありますか。

回答:

みなし有価証券への投資は、利益を得られるか、若しくは損失を被るかどうかが様々な要因によることになり、確実に利益を得ることは保証されていません。
このように利益を得ることができるか、若しくは損失を被るかどうかが不確実であることを一般的に「リスク」といいます。 リスクをもたらす要因には、例えば、以下のようなものがあります。
①価格変動リスク
投資対象の商品・事業の価格が変動することによって、投資により得ることのできる利益が投資元本を下回る可能性があります。 ②信用リスク
投資対象の商品・事業を提供している会社の信用力の変化により、投資により得ることのできる利益が投資元本を下回る可能性があります。
③為替・金利変動リスク
外貨建ての商品の場合には、為替相場の影響によって価格が変動し、投資により得ることのできる利益が投資元本を下回る可能性があります。また、投資対象の商品・事業が金利の変動によって価格や収益性が変動する場合には、投資により得ることのできる利益が投資元本を下回る可能性があります。
④カントリーリスク
投資対象の商品・事業を提供している会社が属する国・地域の政治や経済情勢の変化等又は当該商品・事業に対して新たな規制が設けられた場合には、投資により得ることのできる利益が投資元本を下回る可能性があります。
⑤流動性リスク
投資対象商品を売却することができる市場がなく、また、投資対象商品の中途解約が禁止されている場合には、投資家が希望する時期に投資の回収ができない可能性があります。

質問:ファンドへの投資には、どのようなリスクがありますか。

回答:

ファンドは、集めた資金で、ある特定の資産、不動産、事業などに投資します。その投資の結果、期待された収益が出ない可能性や、損失が発生して投資元本を下回る可能性があり、これらが投資に対するリスクとして考えられます。
ファンドへの投資には、Q13で記載したリスク(価格変動リスク、信用リスク、為替・金利変動リスク、カントリーリスク、流動性リスク等)があるほか、例えば、以下のリスクがあります。
①ファンドの投資先の事業が計画どおり進まない、ファンドが投資した資産の価格が下落する、ファンドの出資対象先が破綻するなどの理由で、出資金の元本が減少するリスク
②ファンドを運用する者が経営破たんなどした場合に、ファンドの運用が継続されないリスク
③ファンド持分の換金又は譲渡等が制限されており、投資資金を直ちに回収することができないリスク
④税法などが変更された場合に、投資からの手取り収益が変動するリスク
⑤自然災害などによって、ファンドの投資先の事業に悪影響を及ぼすリスク

質問:信託受益権への投資には、どのようなリスクがありますか。

回答:

信託受益権への投資には、信託財産に応じたリスクの他、Q13で記載したリスク(価格変動リスク、信用リスク、為替・金利変動リスク、カントリーリスク、流動性リスク等)があります。
信託財産に応じたリスクは投資を行おうとする信託受益権の信託財産ごとに異なります。詳しくは、契約締結前交付書面等でご確認ください。

その他

質問:「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」は、どのような法律ですか。

回答:

金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(以下「金融サービス法」といいます。)は、預貯金、株式、保険・共済など金融商品の販売に関わる業者が消費者に対して重要事項の説明義務を果たし、断定的判断の提供を禁止することによって、消費者保護を強化することを目的とした法律です。
みなし有価証券も金融サービス法の対象商品とされています。金融サービス法では、①契約内容のうち、特に重要な事項について金融商品販売業者に説明義務を課し、また、②金融商品販売業者に断定的判断の提供等を禁止し、それらの違反により損害を被った場合には、顧客は当該金融商品販売業者に対して損害賠償請求を容易とする制度が設けられています。

質問:どのような人(会社)が、有価証券の勧誘を業務として行うことができますか。

回答:

金融商品取引法では、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、金融商品取引業を行うことができません。どのような有価証券についてどのような業務を行うのかに応じて、必要となる登録の種類が異なります。
この登録を受けているかは、金融庁HPで確認することができます。

(注)適格機関投資家等特例業務を行う特例業務届出者が、適格機関投資家等特例業務に係るファンドの私募を行う場合には、上記の登録ではなく、届出をすることで、金融商品取引業を行うことができます。届出の状況は、金融庁HPで確認することができます。

質問:金融商品取引業者はどのような業務を行うことができますか。

回答:

金融商品取引業者とは、金融商品取引業を行うことについて、内閣総理大臣から、金融商品取引法第29条の規定により、登録を受けた者をいいます。
金融商品取引法では、業務の種別として、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業を規定しており、いずれの業を行う場合であっても、登録を受ける必要があります。また、複数の種類の業務を兼営することも可能です。

  • 第一種金融商品取引業
    例えば、株式や社債など流動性の高い伝統的な有価証券について、売買及びその媒介・取次・代理、募集・売出し・私募の取扱い、有価証券の引受け、店頭デリバティブ取引を行うことのできる業務等をいいます。
    一般的に、証券会社や金融先物取引業者などが当たります。
  • 第二種金融商品取引業
    株式や社債と比べると流動性の低い有価証券(例えば、信託受益権、ファンド持分等)の二項有価証券について、売買及びその媒介・代理、有価証券の募集又は私募(いわゆる自己募集)、募集・売出し・私募の取扱いを行うことのできる業務をいいます。
  • 投資運用業
    投資法人資産運用業、投資一任契約に係る業務、投資信託委託業、ファンド運用業(集団投資スキーム等で出資された金銭等を、主として有価証券等に自己運用する行為)をいいます。
  • 投資助言・代理業
    顧客との間で投資顧問契約を締結し、有価証券等の価値等に関する助言や、投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理・媒介を行う業務をいいます。

質問:契約締結前交付書面とは、どのようなものですか。

回答:

契約締結前交付書面とは、金融商品取引法第37条の3の規定に基づき、金融商品取引業者等が顧客に対して、取引を行う前にあらかじめ交付する書類です。
契約締結前交付書面には、締結する金融商品取引契約に関する情報、リスクに関する情報、手数料に関する情報や金融商品取引業者に関する情報など、一般的な投資者が当該取引を行うかどうかを判断するうえで、必要かつ重要な事項が記載されています。
具体的には、①金融商品取引業者等の商号、名称及び住所、②金融商品取引業者である旨及び登録番号、③金融商品取引契約の概要、④顧客が支払うべき手数料等、⑤元本損失が生じる恐れがある場合は、その旨、⑥元本超過損が生じる恐れがある場合は、その旨、⑦顧客が金融商品取引業者に連絡する方法、⑧加入している金融商品取引業協会等が記載されています。
また、以上の他に、金融商品の性質に応じて、当該商品に関する詳しい記載事項が決められています。

質問:契約締結時交付書面とは、どのようなものですか。

回答:

契約締結時交付書面とは、金融商品取引法第37条の4の規定に基づき、顧客が締結した金融商品取引の契約の内容を確認するため、金融商品取引業者等が顧客に対して交付する書類をいいます。
契約締結時交付書面には、①金融商品取引業者等の商号又は名称、②金融商品取引業者の営業所又は事務所の名称、③金融商品取引契約の概要、④金融商品取引契約の成立の日、⑤金融商品取引契約の手数料等に関する事項、⑥顧客の氏名又は名称、⑦顧客が当該金融商品取引業者等に連絡する方法等が記載されています。
また、以上の他に、金融商品取引契約の内容に応じて、詳しい記載事項が決められています。

質問:ファンド持分又は信託受益権への投資について、相談、苦情などがある場合、どこに連絡すれば良いですか

回答:

ファンド持分又は信託受益権への投資についての相談や苦情に関しては、契約締結前交付書面において、苦情処理措置及び紛争解決措置についての記載がありますので、詳しくは、そちらをご覧ください。
また、本協会では、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に苦情処理及び紛争解決処理を委託しております。この場合には、FINMACにご相談ください。
(注)本協会の正会員は、本協会のHPでご確認ください。