TOP  ファンド持分などの「みなし有価証券」に関するQ&A → Ⅱ 金融商品取引法などの法令について

問5.「みなし有価証券」とは、どういうものですか。

 「みなし有価証券」とは、金融商品取引法で規定されているものです。具体的には、証券又は証書に表示される権利以外の権利ですが、金融商品取引法の規制を及ぼすべきことから、有価証券とみなされているものであります。(金融商品取引法第2条第2項1~7号)


「みなし有価証券」には、以下のようなものがあります。

  1. 信託の受益権及び外国の者に対する権利で信託受益権の性質を有するもの
  2. 合名会社、合資会社の社員権、合同会社の社員権、及び外国法人に対する社員権でこれらの性質を有するもの
  3. 組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約上の権利、及び社団法人の社員権その他の権利、並びに外国の法令に基づく権利であってこれらの権利に類するもの
  4. 特定電子記録債権及び政令で定める権利(学校債)

問6.それでは、「有価証券」とは、どういうものですか。

 金融商品取引法では、その目的(第一条)において、①有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、②有価証券の流通を円滑にするほか、③資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、④国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資する、とされております。このため、広く一般に流通する有価証券が、公正な価格形成のもとで円滑に流通し、そのことにより我が国の経済が健全に発展するとともに投資者保護が図られるため、とされております。また、株券や債券のような伝統的な有価証券には該当しませんが、ファンドの持分などの一定の権利は、投資者保護の観点から有価証券とみなされています。


 こうした考え方のもとに、同法では、以下のとおり、「有価証券」が定義されております。

  1. 国債、地方債、社債等の債券
  2. 株券、新株予約権証券
  3. 投資信託の受益証券
  4. 貸付信託の受益証券
  5. 外国の証券
  6. みなし有価証券(信託の受益権、合名会社・合資会社の社員権、合同会社の社員権、任意組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約に基づく権利 等)
  7. カバードワラント
  8. その他

 上記のうち、⑥「みなし有価証券」とは、証券や証書に表示されるようなものではないものの、投資者保護の必要性があることから、有価証券とみなして、金融商品取引法の適用を受けております。
 また、「みなし有価証券」の取引は、本協会の自主規制の対象となっております。

(注)民法上、「有価証券」とは、財産権を表示する紙片(証券、証書などの紙切れ)であって、その権利の発生、移転及び行使が紙片でなされることを必要とするものと考えられます。例えば、手形・小切手などが該当します。これに対して、金融商品取引法上の「有価証券」は民法上の有価証券とその範囲が異なり、上記のとおりとされています。

問7.「金融商品取引法」とは、どういう法律ですか。

 金融商品取引法とは、有価証券の発行や金融商品等の取引を公正にして、金融商品等の公正な価格形成等を図り、国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することなどを目的として、平成19年9月30日から施行されている法律です。
 金融商品取引法が成立する前までは、証券取引法という法律がありましたが、①投資家保護のための包括的・横断的かつ柔軟な法制の構築、②開示制度の整備、③罰則の引上げ、などを主な柱として、証券取引法を発展的に改組する形で、金融商品取引法ができました。
 まず、集団的投資スキーム(ファンド)の持分については、金融商品取引法の成立に先立つ平成16年の証券取引法の改正時において、有価証券とみなされることとなり、投資者保護の範囲が拡大されました。さらに、信託受益権については、上記の①により、金融商品取引法施行時に有価証券とみなされることとなり、さらに規制対象となる商品・取引が拡大しております。

問8.「金融商品取引法」における金融商品とは、どういうものですか。

 金融商品取引法では、主に以下のようなものを「金融商品」と定義しております。

  1. 有価証券
  2. 約束手形、譲渡性預金証書等(預金契約に基づく権利であって政令で定めるもの)
  3. 通貨

問9.「金融商品販売法」は、どういう法律ですか。また、「金融商品取引法」とは、どういう関係ですか。

 金融商品販売法(平成13年施行)は、幅広い金融商品の販売に関して、顧客への説明義務を課し、断定的な判断の提供の禁止等を定めたほか、説明義務等を怠った金融商品販売業者等に対する損害賠償請求を定めた法律です。
 金融商品販売法の対象商品としては、預貯金、定期積金、国債、地方債、社債、投資信託、一定の金銭信託、保険・共済、抵当証券、集団投資スキーム(ファンド)持分等の販売、様々なデリバティブ取引、有価証券オプション取引、海外商品先物取引などです。金融商品販売法では、①契約内容のうち、特に重要な事項について金融商品販売業者に説明義務を課し、また、②金融商品販売業者に断定的判断の提供等を禁止し、それらの違反により損害を被った場合には、顧客は当該金融商品販売業者に対して損害賠償請求ができることとなっています。なお、当該違反の事実の立証責任は顧客側にありますが、顧客が被った損害の額は元本欠損額と推定されますので、損害については顧客は元本欠損額のみを立証すれば足り、顧客の立証の負担が軽減されています。
 金融商品取引法と金融商品販売法とは、いわば「車の両輪」とも言うべき関係です。

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